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厚生労働省作成「予防接種Q&A」(2005.9掲載)

 ○ 麻しん及び風しんの予防接種

 ○ 日本脳炎予防接種

 ○ ジフテリア、百日せき、破傷風の予防接種

 ○ インフルエンザ予防接種


麻しん及び風しんの予防接種

(質問1)予防接種法に基づく定期の予防接種に関しては、平成18年4月1日以降の接種対象者はどのようになるのか。

(回答)定期予防接種については、第1期及び第2期の接種とも、麻しん風しん混合ワクチンを使用することが法令上義務づけられている。過去に単抗原ワクチンを受けた者は、当面は、法に基づく定期の予防接種として行われる混合ワクチンの接種対象者とならない。(現在の1回接種の状況が維持される。)

現行制度による接種歴
第1期での混合ワクチンの接種
第2期での混合ワクチンの接種
麻しんワクチンのみ接種
×
×
風しんワクチンのみ接種
×
×
麻しんワクチン及び風しんワクチンともに接種済み
×
×
麻しんワクチン及び風しんワクチンともに未接種 生後12月から生後24月に至るまでの間にある者は麻しん風しん混合ワクチンを接種 就学前1年間にある者は麻しん風しん混合ワクチンを接種

(質問2)第2期の対象者から、現行制度による麻しん及び風しんの予防接種を行ったものを除外しているのは、どのような理由からか。

(回答)今回の改正は、現在の1回接種制度が特段の公衆衛生上の問題が生じていない状況で、より一層の対策を強化する趣旨で接種回数を2回に拡大するものであることから、有効性安全性に特に留意が必要である。
 当該第2期の接種についても、有効性、安全性について積極的な確認を要するところである。麻しんワクチン及び風しんワクチン(単抗原ワクチン)を接種した後に麻しん風しん混合ワクチンを接種した場合の有効性・安全性については、定期接種として公権力による接種の積極勧奨を行う場合に求められる実証データが存在しないため、当面の間、対象外としている。今後、十分な知見を集積し、有効性・安全性について積極的な確認が得られれば、第2期の対象者として認めることを検討するものである。

(質問3)麻しん風しん混合ワクチンの2回接種の有効性・安全性については、どのように考えるのか。

(回答)質問2の回答と同様に、麻しん風しん混合ワクチンを2回接種した場合の第2期の有効性・安全性については、公権力による接種の積極勧奨を行う場合に求められる実証データについて十分な知見を集積する予定である。
 なお、平成18年4月において、混合ワクチンの既接種者であって2回目の接種として第2期に接種すべき対象となる者は存在しないため、法令上は、第2期の接種時期のみを規定している。

(質問4)麻しん風しん混合ワクチンの2回接種の制度導入の時期を平成18年4月とした趣旨や今後のスケジュールはどのようなものか。

(回答)定期の予防接種において1回接種から2回接種に改正する制度の導入に伴い、法令の施行時点で直ちに完全かつ一律な2回接種が導入されるわけではなく、有効性、安全性その他の諸事情を勘案して、第2期該当者への公権力による積極勧奨が経過的に拡大していくものである。これは、定期の予防接種制度は、単に医学的に有効、必要という理由だけではなく、公権力による接種勧奨に求められる高い安全性の証明、副反応被害への法的責任、保護者の時間的・経済的費用負担、被接種者の身体的負担、副反応による健康被害の可能性割合、接種率の合理的な確保、地方自治体の事務処理体制・財政負担等を総合的に判断し、定めるものであるためである。
 今回の改正は、あくまで、第1期において麻しん風しん混合ワクチンを.接種した者が、4年から6年後の時点において麻しん風しん混合ワクチンを接種するという2回接種の制度を基本的な仕組みとして、必要な実証データに基づき有効性安全性を確認できたものについて、暫時導入されるものである。
 その上で、単抗原ワクチンを接種した者が麻しん風しん混合ワクチンを接種する等の組み合わせについては、所要の実証データを集積してから、有効性、安全性の確認を前提に対象とする方向で暫時検討する趣旨である。

(質問5)麻しん又は風しんの単抗原ワクチンの接種は、どのような位置づけとなるのか。

(回答)今回の改正では、保護者及び児の負担(身体的負担、時間的・経済的負担)、行政負担(接種機会の合理的な確保、事務処理体制・財政負担)、副作用の発生リスク等を総合的に勘案して麻しん風しん混合ワクチンに限り公権力による積極勧奨の対象とすることとしている。平成18年4月1日以降、単抗原ワクチンを使用する場合は、公権力による積極勧奨を行わず、保護者の希望がある場合に行われ、法に基づかない予防接種となるが、市町村の判断で費用負担への配慮を要請している。この場合、公権力による積極勧奨を行わないことから、法律上、極めてまれであるが生ずる副反応被害への補償は、予防接種健康被害救済制度でなく、医療品副作用被害救済制度によることとなる。

(質問6)平成18年3月31日までに現行の制度において麻しん及び風しんの予防接種をすることが可能である者について、どのように接種勧奨すべきか。平成18年4月1日以降に新制度において接種することができる者については、どうか。

(回答)市町村は、できるだけ早期の接種を積極勧奨する予防接種法上の注意義務を有することに加え、平成18年4月1日から、接種対象者の変更及び麻しん風しん混合ワクチンのみの使用となるため、現行制度において対象にある者は、早期に接種しておくことが一層重要となる。今回の2回接種制度の導入の最終的な目的である麻しんの国内での根絶には、有効性及び安全性を要件として適切な時期(生後12月以降できるだけ早期)での高い接種率が前提となる。
したがって、平成18年3月31日までの間の麻しんワクチンの積極的勧奨を優先的に行う必要があるが、平成18年3月1日〜3月31日に、麻しんワクチン及び風疹ワクチンともに未接種の者であって、4月1日以降に第1期及び第2期の対象となるものに関しては、接種間隔のことを勘案して、施行前後の勧奨としては、4月1日以降に、新制度(混合ワクチン)での接種を勧めるのが妥当である。
 なお、今後、単抗原ワクチンを接種した者が麻しん風しん混合ワクチンを接種した場合の有効性・安全性の実証データを集積し、有効性、安全性が確認できれば、単抗原ワクチン接種者に対しても、第2期における麻しん風しん混合ワクチン接種の対象とする予定であり、暫時、接種対象の拡大を検討するものである。

接種を受ける者の接種歴
平成18年3月31日までの勧奨
備考(公権力による積極勧奨としての接種の区分)
麻しんワクチンのみ接種
風しんワクチン接種の勧奨
当面の間、2回接種の対象とはならない
風しんワクチンのみ接種
麻しんワクチン接種の積極勧奨
当面の間、2回接種の対象とはならない
麻しんワクチン及び風しんワクチンともに接種済み
不要
当面の間、2回接種の対象とはならない
麻しんワクチン及び風しんワクチンともに未接種 麻しんワクチン接種及び風しんワクチン接種の積極的勧奨(最初に麻しんワクチンを接種し、接種後27日間以上おいて可能な限り早く風しんワクチンを接種する) ただし、平成18年3月1日〜3月31日に、麻しんワクチン及び風しんワクチンともに未接種の看であって、4月1日以降に第1期及び第2期の対象となる者に関しては、4月1日以降に、定期接種として麻しん風しん混合ワクチン接種を勧める

(質問7)施行通知における「平成18年3月1日から同月31日までにおける未接種の対象者について、同年4月1日以降にも接種機会の確保が可能な場合には、同日以降の接種を勧奨するよう配慮すること」の趣旨はどのようなものか。

(回答)麻しんワクチン及び風しんワクチンともに未接種者の場合、平成18年3月1日以降、麻しん又は風しんの単抗原ワクチンのいずれかを接種勧奨した場合、接種期間を勘案し他方の単抗原ワクチンの接種について積極勧奨の対象ではなくなる場合があるので、平成18年4月1日以降においても第1期及び第2期の接種対象年齢である場合には、定期接種として麻しん風しん混合ワクチンを一貫して接種勧奨することとなるよう配慮を求める趣旨である。
 なお、定期の予防接種を受けるか否かの判断は、その時期を含め、法律上、保護者の自由な意志に基づき、かつ、保護者の責任で決定するものであるので、十分な情報提供及び説明と同意が前提である。

(質問8)単抗原ワクチンの接種に関する経過的な措置はどのようなものか。

(回答)平成18年3月31日までに積極的に接種勧奨を行うことが、現行法に基づく市町村の法的義務である。平成18年4月1日以降の単抗原ワクチンの接種については、法に基づかない接種となり、公権力による積極勧奨の対象ではないが、希望者の費用負担を緩和するため、1歳代で麻しん又は風しんいずれかのワクチンのみを接種した者に、保護者の希望により他方の単抗原ワクチンを使用する場合においては、当面の間、法に基づく接種と同等の公費負担を行うことを市町村に要請している。
 また、麻しん又は風しんの罹患者が、平成18年4月1日以降において、罹患していない方の単抗原ワクチンを接種する場合も、公権力による積極勧奨の対象ではないが、同様の趣旨により、保護者の希望により1歳代の罹患者が単抗原ワクチンを使用する場合においては、当面の間、法に基づく接種と同等の公費負担を行うよう市町村に要請している。(「麻しん及び風しんに係る定期の予防接種等に関する留意事項について(平成17年8月3日付け健感発第0803001号)」)

(質問9)現行制度で麻しんワクチン、風しんウクチンを接種していた者は、平成18年4月の時点で直ちに2回接種の対象となもわけではないが、保護者に対して、どのように説明することが適当であるか。

(回答)今回の2回接種の導入は、公権力による積極勧奨を行い社会全体での接種率向上、確保をもって、麻しんを根絶するといういわゆる社会防衛の観点から行われるものであり、より一層の麻しん対策を行う趣旨である。
 今後、実証データを集積して確認された有効性と安全性を踏まえて、現行制度で麻しんワクチン、風しんワクチンを接種していた者についても2回接種が導入検討される予定であるが、現在のところ、行政として2回接種を勧奨すべきとはいえないので、この旨を情報提供することが適当である。

(質問10)「麻しん及び風しんに係る定期の予防接種等に関する留意事項について(平成17年8月3日付け健感発第0803001号)」の課長通知2(1)〜(4)において、罹患者及び現行制度における麻しん及び風しん予防接種の既接種者に対する単抗原ワクチンの使用を1歳代に限定している理由はどのようなものか。

(回答)市町村は、できるだけ早期の接種を積極勧奨する注意義務を有することに加え、平成18年4月1日から施行される新制度における公権力による積極勧奨としての定期の予防接種の第1期の対象者と整合性を図り、有効、合理的な時期での接種を確保する趣旨である。

日本脳炎予防接種について

(質問11)新たなワクチンの供給の予定、積極勧奨の再開見通しは。

(回答)現在、薬事法に基づく承認申請中であると承知しているが、時期については未定である。また新たなワクチンについて、公権力による積極勧奨を行うにあたって求められる有効性、安全性及び、積極勧奨を行う施策上の合理性の確認が要件であり、改めて検討が必要であり、再会の見通しは未確定である。

(質問12)現在対象者である者が、勧奨を再開した時に対象年齢外になった者についてはどのようになるのか。

(回答)個人の発症防止、重症化防止の効果に限られる日本脳炎予防接種について、接種対象期間以外の者について、公権力による積極勧奨である定期予防接種の対象とすることはできない。

ジフテリア、百日せき及び破傷風の予防接種

(質問13)ジフテリア、百日せき及び破傷風の予防接種において、単抗原ワクチンに関する規定が削除された理由はどのようなものか。

(回答)ジフテリアトキソイド、沈降ジフテリアトキソイド、沈降精製百日せきワクチン、ジフテリア破傷風混合トキソイドについては、既に製造供給されていないものであるのに、法令上市町村に接種体制の確保が求められるという状況になっていることから、関係規定を削除したものである。ジフテリア、百日せき及び破傷風への第1期の予防接種にはDPTのみの使用となる。ジフテリア沈降破傷風混合トキソイドは従来から1期のワクチンとしての使用は法令上認められていない。
 なお、法令に適合しない通知、ガイドライン等は、いずれも法的効力を有さないので、定期予防接種として行われるものではない。

インフルエンザ予防接種

(質問14)インフルエンザ予防接種実施要領において、「接種後2日以内に発熱のみられた者」及び「全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者」並びに「過去に免疫不全の診断がなされている者」が、接種要注意者から接種不適当者に変更となった理由はどのようなものか。

(回答)インフルエンザワクチンについては、個人の発症及び重症化の防止の効果に主眼をおいていることから、公権力による積極勧奨は行われないものの、行政関与及び公費による接種費用の軽減や副反応被害に対する救済を行っており、法律に基づかない予防接種とは異なるものである。
 接種不適当者については、医学的理由のみならず、予防接種法上求められる安全性を確保するとともに、副作用被害を極力回避する注意義務があることから、対象者を限定しなければならない。今回、近時の安全性の確保及び副作用被害における法的問題を精査した結果、副作用被害との因果関係を肯定する可能性となり得る「接種後2日以内に発熱のみられた者」及び「全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者」並びに「過去に免疫不全の診断がなされている者」に関しては、接種不適当者に該当すると判断したところである。