平成16年1月12日 農林水産省

国内における高病原性鳥インフルエンザの発生について

 家畜伝染病に指定されている高病原性鳥インフルエンザの発生があったので、その概要をお知らせします。なお、国内では1925年の発生以来、79年ぶりの発生となります。

 1 発生の概要

所在地:山口県阿武郡阿東町

発生農場:採卵鶏農場(飼養羽数:34,640羽)

 2 発生の経過

 平成16年1月11日、管轄家畜保健衛生所から山口県庁経由で農林水産省に鳥インフルエンザの発生を疑う旨の連絡があり、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構衛生研究所において死亡鶏等の病性鑑定を行ったところ、H5亜型のA型インフルエンザウイルスの感染が確認されたため、当該鶏は高病原性鳥インフルエンザの患畜と確定された。

 3 防疫対応の状況

(1)初動防疫措置として、発生農場について既に部外者の農場への立入制限、卵の出荷自粛、鶏舎の消毒等を実施している。

(2)今後、公衆衛生部局とも連携しつつ、家畜伝染病予防法及び高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに沿って、発生農場の飼養鶏全羽の殺処分、消毒、周辺農場における移動の制限、疫学調査の実施等、必要な防疫措置をとることとしている。

※移動の制限:鶏等の家きん、病原体を拡げるおそれのある物品等を対象とし、当面、発生農場を中心とした半径30km以内の区域で実施

 4 その他

(1)生きた鳥との接触等により、人に感染した例が知られているものの、食品(鶏卵、鶏肉)を食べることによりインフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていない。なお、3の移動の制限により、制限地帯からの鶏・卵の出荷は禁止されている。

(2)厚生労働省においては

*食品を摂取することによる人へのインフルエンザ感染はこれまで報告されていないが、山口県と協議して、念のため、当該施設から出荷された鶏卵について自主回収を行うよう事業者を指導している。

*また、諸外国では生きた鳥との接触により人に感染した事例が報告されていることから、山口県を通じて養鶏従事者等関係者に対し、健康状態の確認、感染防御の徹底を指導している。

(担当:農林水産省消費・安全局衛生管理課)

 


高病原性鳥インフルエンザとは

1 本病の特性

(1)鳥インフルエンザのうち、死亡率が高いか、ウイルスが変化して死亡率が高くなる可能性のある特定のウイルスのものをいう。鶏、あひる、七面鳥、うずら等が感染し、神経症状(首曲がり、元気消失等)、呼吸器症状、消化器症状(下痢、食欲減退等)等を呈する。鳥から鳥へ直接感染するだけでなく、水、排泄物等を介しても感染する。

(2)生きた鳥との接触等により、人に感染した例が知られているものの、食品(鶏卵、鶏肉)を食べることによりインフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていない。

2 発生状況

(1)これまで、香港、中国、米国、ドイツ、韓国等世界各地で発生している。日本では、1925年以来発生はない。

(2)1997〜1998年に、香港で人の感染が報告されたことから大きく注目。