診療報酬改定にかかるQ&A

平成22326

新潟県医師

 

このたびの診療報酬改定に関して本会に寄せられた照会について、主なものをQ&Aとして取りまとめましたので、内容についてご確認いただきますようお願いいたします。

 

 

○地域医療貢献加算について

 

Q 地域医療貢献加算の算定要件を満たしているとして届け出ている医療機関は、問い合わせのあった患者や時間外に受診された患者だけでなく、通常の診療時間内に受診された方にも算定できるか。

A 体制を整えていることを評価された点数であり、届出医療機関で算定要件を満たしていれば、通常の受診患者についても算定可能です。

 

Q 24時間自宅or連絡がとれるところにいなければ届出できないということか。

A 時間外等で携帯電話等への転送や留守番電話により速やかに対応するなどの方法により、常時、連絡がとれる体制をとっていれば届出は可能です。

 

Q 「Q&A」で留守番電話により速やかに対応することでよいとあるが、帰宅後(外出時)、速やかに対応することでよいか。

A 速やかな対応といっても具体的な時間が示されていることはありませんが、時間外等でも電話による問い合わせに応じる体制を整備していることを患者へも周知することになるため、例えば午後から外出して帰宅が夜間になることが予めわかっているような場合は、他の医療機関と連携して対応されることが望ましいと思われます。

 

Q 初診患者で夜間に電話により、用件を聞いた結果、翌日受診でも充分可能と判断し、患者が受診した当日に加算してもよいか。

A 初診患者について電話で対応されても初診料は算定できませんので、翌日の受診時に初診料を算定することになります。したがって、地域医療貢献加算は再診料の加算であり、初診時には算定できないことになります。

 

Q 患者への周知方法として院内掲示、連絡先を記載した文書の交付等が例示されているが、院内掲示のみでも可能か。

A いずれかの方法で差し支えありません。

 

Q 学会等で院長が不在の場合、日医Q&Aでは「連携先の医療機関を患者に知らせることでよい」とされているが、対応を求められた場合に電話に出られない場合もあるので、その連携医療機関は事前に院内掲示などで知らせておくべきか。

また、電話に出られずに対応できなかった場合に“届出を行っているにもかかわらず”ということで責任を問われることはないか。届出を行ったとしても時と場合により対応ができない場合もあると思われ、そのような状態でも算定要件を満たしていれば届出を行うことができるか。

A ご質問にもあるように届出したからといって、時には対応できない場合もあり得ると思われますが、事前に不在となることが分かっているようなケースであれば、その対応は必要と思われます。ケースにもよりますが、対応ができなかったことのみで責めを負わせられることにないとしても、標榜時間外における患者からの問い合わせに応じると宣言するわけですから、医師不在時に全く対応できないということでは算定要件を満たしているとは言えないと思われます。地域医療貢献加算は標榜時間外における患者からの問い合わせ等に応じる体制を整備することを評価している点数です。その体制として不在時には留守番電話による対応も挙げられていますが、翌日にしか対応ができないことが恒常的としたら、当該加算の趣旨に反することになるように思われます。携帯電話への転送、また連携医療機関との協力等が示されていますが、不在となって対応ができないことが予め想定されるのであれば、その対処方法についても検討することが望まれます。

 

 

○明細書発行体制等加算について

 

Q このたびの療養担当規則の改正では、明細書の発行義務はレセプト電子請求が義務付けられた医療機関とされているが、診療所の場合の義務化は本年7月からとなっている。この場合、既にレセプト電子請求を行っている医療機関若しくは4月からレセプト電子請求を行う医療機関は、7月までは明細書発行体制等加算を届け出ることができないのか。

A レセプト電子請求を行っている医療機関は4月から届け出ることが可能です。

 

Q 既にレセプト電子請求を行っているが、レセコンに明細書発行機能が付与されているものの、現状では明細書発行に対応したソフトを購入しないと発行できないが、ソフトを購入してすぐに対応しなければならないのか。

A 別に明細書発行に対応したソフトを購入しないと発行できない場合は、体制が整わないとして『明細書発行について「正当な理由」に該当する旨の届出書』を提出することが可能です。

なお、診療所の場合、レセプト電子請求の義務化は7月からとなりますので、「正当な理由」の届出書は6月末までに関東信越厚生局に届出書を提出することでよいことになります。

また、院内掲示については、レセプト電子請求の義務化の有無や明細書発行の有無など、医療機関の状況により掲示の内容は異なりますが、すべての医療機関が4月から行う必要がありますので、詳細については日医参考資料P.714721を参照願います。

Q 院外処方の場合、処方薬名は診療明細書に載らなくてよいか

A 院外処方の場合、医療機関は処方せん料のみで薬剤の費用は請求するものではないことから、明細に示す必要はありません。

 

Q レセ電請求の場合、発行義務があるか。

A オンラインの他、磁気媒体により請求する「レセプト電子請求」を義務付けられた医療機関は発行義務があります(日医参考資料P.714療養担当規則の新旧対照表及びP.716の通知を確認願います)

 

Q 患者より発行しなくてもよいとの意思表示があった場合、発行しなくとも明細書発行体制等加算を算定できるとあるが、患者の同意書、サイン等は必要か。

A 後でトラブル等が懸念されるようであれば、同意書等があることで回避できることになりますが、特に規定されていないことから、同意書等までは不要と思われます。この場合はカルテ等に発行不要の意思確認を行った旨を記載しておくことで足りると思われます。

 

Q オンライン請求をしていて発行義務がある医療機関で、患者の待ち時間が長くなる等、患者のメリットにならず、義務化は承服できないとして発行しないとしたら罰則はあるのか

A そのことだけを以て罰則は規定されていませんが、療養担当規則という省令に違反し、健康保険法でも保険医療機関の責務として厚生労働省令に定めるところにより、療養の給付を担当しなければならないとされていますので、これらを遵守することが必要とされています。

 

Q 明細書発行体制等加算について、日本医師会作成のQ&Aに地方厚生局長に届出が必要とあるが、詳しく教えていただきたい。様式等があるか。

A 日医参考資料の該当ページを参照願います。

  点数P.3  施設基準告示P.447  施設基準通知P.511  療養担当規則P.714

  届出様式はP.837838の届出書及びP.840の添付書類にそれぞれ必要事項を記入の上、関東信越厚生局新潟事務所に正副2通を提出することになります。

 

Q 明細書を希望された患者のみ発行するのか。もしくは全患者に発行しなければいけないのか。

A このたびは療養担当規則の改正により、オンラインもしくは電子媒体により請求する医療機関については、正当な理由がない限り、従来からの領収証を交付するに当たり、常に明細書の発行が義務付けられることになります。また、正当な理由により交付が困難な医療機関にあっては、患者から求められたときに交付することで足りるとされています。詳しくは日医参考資料P.714720をご参照ください。なお、その上で施設基準を満たしているとして届出を行った医療機関は当該加算が算定できることになります。

 

Q 免除等により電子請求を行わない医療機関については、明細書発行の義務はないと考えてよいか。

A 今回の療養担当規則の改正では電子請求を行う医療機関が対象となりますので、高齢または手書きによる免除届を提出されている医療機関は対象外となります。

  ただし、明細書発行に関する状況(発行の有無、明細書発行の手続き、費用徴収の有無、費用徴収を行う場合の金額等)を院内掲示することとされています。院内掲示の例は日医参考資料のP.720(様式9-2)を参考にしてください。

 

 

○施設基準の届出について

 

Q 届出は全て4月14日締切なのか。

A 基本診療料はP.503、特掲診療料はP.634を参照願います。新設された点数のほか、内容の変更により改めて届出が必要なものなどで4月1日から算定する場合は、4月14日までに関東信越厚生局新潟事務所へ届出の提出が必要です。

 

Q 地域医療貢献加算及び明細書発行体制等加算の届出については、それぞれ様式2と様式2の2を提出するとされているが、その他に基本診療料の施設基準に係る届出書を一緒に提出しなければならないか。

A 様式2と様式2の2はそれぞれの届出を行う際の添付書類であり、基本診療料の施設基準に係る届出書(日医参考資料P.837838の計4枚)に様式2(同P.838)と様式2の2(同P.838)を添付して提出することになります。

※この場合はP.837の下(別添7)の届出事項欄に地域医療貢献加算及び明細書発行体制等加算を列記し、P.837の上の用紙に今回届出の項目をチェックして、両方の添付書類で計6枚をそろえて2部作成してください。

提出先:関東信越厚生局新潟事務所

950-0088 新潟市中央区万代2-3-6 新潟東京海上日動ビルディング1階

なお、届出用紙については、日医参考資料の該当ページをコピーして使用していただいても構いませんし、日本医師会(メンバーズルーム)のほか、厚生労働省及び関東信越厚生局のホームページから基本診療料、特掲診療料について届出様式のPDFファイルをダウンロードすることができます。また、郡市医師会にも該当部分のPDFファイルお送りしていますので、必要によりお問い合わせください。

 

○在宅患者訪問診療料について

 

Q 今回の改正で同一建物居住者以外と同一建物居住者として区分されたが、従来の同一患家で複数人を診察した場合は同一建物居住者として取り扱うのか。

また、1人目は同一建物居住者以外として、2人目以降を同一建物居住者とするのか。

A 従来の点数では居住系施設入所者であるか否かで判断していたものを、今回の改正では患者の居住場所が同一建物であるか否かで判断することになります。ただし、同一建物として想定されているのは、従来からの特養や高齢者施設等のほか、マンションやアパートなども含まれることになります。

したがって、従来どおり訪問診療として一般の住宅に訪問して複数人の患者を診察した場合には、1人目に訪問診療料の「1 同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降は再診料を算定することになります。

また、例えばマンション等に別な世帯の患者が同じ建物に入居している場合では、部屋が異なっても同一建物として取り扱うこととして、この場合は診察の順番にかかわらず両者とも「2 同一建物居住者の場合」として取り扱うことになります。

 

注)3/21(日)に新潟会場(ANAクラウンプラザホテル)で開催した診療報酬説明会における説明の中で、一部解釈に誤りがありましたので訂正いたします。

同一患家や同一建物入居者について、1人目は830点を算定し、2人目以降は200点を算定する旨の説明がありましたが、取扱い

は上記のとおりとなりますのでご確認ください。